神奈川

江之浦測候所・雨の夕景も絵になる!何度も訪れたい自然とアート

江之浦測候所 雨 ブログ1

季節によって違う太陽の光の入り方、それが美しく見えるように建てられている建物。自然の中でどのように見えるか、自然と一体化されるように置かれているアート作品。

そんな江之浦測候所では、数十年もかけて収集されたという考古遺物や古材をいたるところで目にできます。

今回は「夕景の部」に行っってきました。夕景の部は7月8月の期間限定の見学時間で、夏の夕方の、昼間とは違う表情の江之浦測候所も人気の様です。

が!雨でした!!

夕陽を感じることは出来ませんでしたが、雨の江之浦測候所も良かったです(*´▽`*)

明月門

江之浦測候所 雨 ブログ 明月門1

江之浦測候所の駐車場から坂を上ると待ち構えているのは【明月門(めいげつもん)】。明月門は、鎌倉にある明月院の正門として室町時代に建てられたものなんだそうです。

明月院と言えばアジサイの名所としても有名ですね。関東大震災で半壊したのち、巡り巡って根津美術館の正門として使用されていて、根津美術館の建て替えの為に寄贈されたんだそう。

江之浦測候所 雨 ブログ 明月門2

帰り際は少し暗くなっていて、明月門はライトアップされ明るい時間に見るものとは違い良かったです。

写真では分かりにくいですが、雨でしっとり濡れている感じも「雨ならではだなぁ」と思ったり。

待合棟

時間になると係の人が待合室に案内してくれました。

江之浦測候所 雨 ブログ 待合棟1

箱根外輪山が見渡せるという【待合棟】は、4面をガラスで覆われていて近代的でクールな印象。

中に入ると置かれているのが大きなテーブルで、樹齢千年を超える屋久杉が使われているんだそう。

江之浦測候所 雨 ブログ 待合棟2

なるほど。中に入って感じたのは暖かみのある感じはテーブルかもな。と。

テーブルには石の水鉢が置かれている(埋め込まれている?)のですが、高野山の大観寺にあった水鉢だそうです。

夏至光遥拝100メートルギャラリー

江之浦測候所 雨 ブログ 夏至光遥拝1

待合棟の目の前にあるのは【夏至光遥拝100メートルギャラリー】。

夏至光遥拝は「げしこうようはい」と読むらしい。

扉が重くて開け方が分からず悩んでしまいましたが、もちろん中にも入れます。

江之浦測候所 雨 ブログ 夏至光遥拝2

100メートル。走りたくなります。

もう何年も走ってないから足がもつれて転ぶだろうけど、走りたくなります。

壁にかかっているのは、カリブ海やエーゲ海などの海景の写真。硝子は37枚使われているんだそう。雨でくもってしまっていますが、それはそれでまた良い。

江之浦測候所 雨 ブログ 夏至光遥拝5

100メートル先まで行くとバルコニーがあり外に出られるようになっています。

江之浦測候所 雨 ブログ 夏至光遥拝6

外に出た瞬間、風が吹き抜ける気持ちよさ。それに加え何の邪魔もない海。良いです(。-∀-)

丸テーブル置いてお茶とかしたい。

夕景の部が人気なのも分かるなぁ。

江之浦測候所 雨 ブログ 夏至光遥拝3

「夏至光遥拝」という名前の通り、夏至の日の朝には「夏至光遥拝100メートルギャラリー」を太陽光が数分間あたるようになっているんだそうです。

バルコニーの前に置かれたガラス(?)の支えは、光が入るときれいに反射するようになっているのかしら?と思ったり。

江之浦測候所 雨 ブログ 夏至光遥拝8

あとに、庭園を超えてぐるっと回ると見えてくるのですが、夏至光遥拝100メートルギャラリーは、外から見ても圧巻です。

「ここで嵐が撮影したのね」と思って見たり。

曇り空にめちゃくちゃ映える。いや、晴れていても台風でも映えるんだろうな。

江之浦測候所 雨 ブログ 夏至光遥拝9

「どうやって支えているのだろう?落ちないのかしら?」と心配になるほど突き出ているギャラリーの先端は12メートル。

「しまった!」と思ったのは、ピサの斜塔のように指で支える写真を撮ればよかったなぁ。と後悔したことです。そのくらい突き出ている圧巻さ。

円形石舞台

江之浦測候所 雨 ブログ 円形石舞台1

夏至光遥拝100メートルギャラリーを右に階段を下りていくとあるのは【円形石舞台】。

形だけ見てそのまま通り過ぎてしまいそうになりますが、中央には大名屋敷の大灯篭を支えていた伽藍石、敷かれているのは京都市電の敷石、周りの石は江戸城の石垣のために切り出された巨大な石など、知っていると見方が変わるかも。

面白い。

江之浦測候所 雨 ブログ 円形石舞台2

円形石舞台は夏至光遥拝100メートルギャラリーの中央付近からも見下ろせます。

冬至光遥拝隧道

江之浦測候所 雨 ブログ 冬至光遥拝隧道1

円形石舞台の横に入り口のようにあるのは【冬至光遥拝隧道(とうじこうようはいずいどう)】。

江之浦測候所 雨 ブログ 冬至光遥拝隧道2

覗くと、中は暗く先に光が見えて、神秘的と言うか宇宙的と言うか。

真っ暗なトンネルに入るのって怖くてドキドキしてしまいますが、トンネルの出口から光が入っていると少し安心しますよね。そんな感じ。

いや、ふと思い出したんです。昔住んでた場所の帰り道、高架下がそこそこ長くて暗くて怖かったなぁ。って(。-∀-)出口の光に向かってめちゃくちゃチャリこいだなぁ。って(。-∀-)

江之浦測候所 雨 ブログ 光井戸1

吸い込まれるように入っていくと、途中で出会うのは【光井戸】。採光のために設置されているんだそうです。

遺跡に行くとたまにみかけますが、スポットライトみたいでかっこいい。

江之浦測候所 雨 ブログ 光井戸2

光井戸の中にはガラスの破片がちりばめられていて、雨の時に雨粒に一滴が井戸に降り注ぐのを見れるそう。

雨を楽しむって素敵ですよね。

江之浦測候所 雨 ブログ 冬至光遥拝隧道3

先へ進むとかなり真っ暗です。足元が怖かったです。

白黒で撮ったわけでもなく。そのくらい暗いんですが、光の感じがたまらない。

江之浦測候所 雨 ブログ 冬至光遥拝隧道4

「冬至光遥拝隧道」は、冬至の日の朝日がこの道を貫くように設置されているそうで、海から登る朝日を見ることができるんだそう。

曇りも良いけど、暗闇の中から見る、冬の海の淡い色と空と朝日。見たいですねぇ。

冬至の日は特別に朝から見学できるようで、コレはまた来たいと思っちゃうわ。

江之浦測候所 雨 ブログ 冬至光遥拝隧道5

先へ行くと危ないので、「ここから先へは行かないでください」と言う意味で置かれている石。

逆光で素敵に撮れました。

光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席

江之浦測候所 雨 ブログ 光学舞台3

冬至光遥拝隧道の途中から外に出られるようになっていて、階段を上がっていくと冬至光遥拝隧道の上に出られるようになっています。

冬至光遥拝隧道と平行し、すぐ隣にあるのが【光学硝子舞台】。光学硝子舞台を囲むように【古代ローマ円形劇場写し観客席】が配置されています。

観客席はフェレント古代ローマ円形劇場遺跡を測って再現されたもの。

「フェレント古代ローマ円形劇場遺跡」とはどこにあるのだろう?と調べたところ、ローマから70キロ離れた「ヴィテルボ」という街のさらに郊外にある遺跡らしい。

ヴィテルボは、ヨーロッパのでも最も良い状態で古い城壁が残されている町として知られているそうです。・・・イタリアへの思いをはせてしまった。

江之浦測候所 雨 ブログ 光学舞台2

光学硝子舞台は、冬至の軸線に沿って硝子が敷き詰められているんだそう。そのため冬至の朝は硝子の小口に大老の光が差し込むのが見られるそうです。

また、観客席からは海の上に硝子の舞台が浮かんでいるように見えるのも見どころです。

光学硝子舞台に乗ることは出来ないのですが、海と一体化する舞台は何とも言えない不思議な感覚になります。

江之浦測候所 雨 ブログ 光学舞台4

あとに、「夏至光遥拝100メートルギャラリー」を下から眺めた次に、「冬至光遥拝隧道」と「光学硝子舞台」も下から見えてきます。

冬至光遥拝隧道の鉄製の絶対的存在感と、その横に佇む柔らかい木と硝子の舞台は、まるで夫婦の様だ。

なんて詩人っぽく言ってみましたが、何とも言えないバランス。バランスが良いのかアンバランス感が良いのか。

生命の樹 石彫大理石レリーフ

江之浦測候所 雨 ブログ 生命の樹1

光学硝子舞台から古代ローマ円形劇場写し観客席を上り、その先にあるのは【生命の樹 石彫大理石レリーフ】。

入口(出口かな?)は冬至光遥拝隧道の上の道と繋がっていて、その上に飾られているのが【生命の樹】のレリーフです。

江之浦測候所 雨 ブログ 生命の樹2

生命の樹の大理石レリーフは、「ベニスのグランドキャナルに面した南館のファザードに嵌み込まれていた」と説明があります。

つまり、ベネツィアの大運河に面していた建物の正面部分にはめてあったものなんですね。

「生命の樹」とは、旧約聖書の創世記にエデンの園の中央に植えられた木で、Wikipediaによると「生命の樹の実を食べると、神に等しき永遠の命を得るとされる」とあります。神話などのシンボルとして、生命の力・聖なる力などと言った意味があるんだそう。

いつの時代の物かは書かれていませんが、ベネツィアも歴史はあるし、もしかしたら相当古いものかもしれません。

根府川 浮橋

江之浦測候所 雨 ブログ 根府川石の浮橋1

生命の樹 石彫大理石レリーフから続いているのは【根府川 浮橋】。

使われている石は根府川石丁場から採取されたものなんだそうですが、平らで滑らかな平滑面が特徴なんだそう。

歩きやすいように整えてはいるものの、自然のままの石なんですね。

しかも、うまい事組み合わされているのも見てて気持ちが良い。

江之浦測候所 雨 ブログ 亀石1

そして、途中に置かれているのは【亀石】と呼ばれる石。

残念ながら亀に見えるように写せなかったんですが、「亀」と言われて見るとかなり「亀」です。見る角度によるのかな?

「自然石だと思われるが、底辺がきれいな平滑面で人手により加工された可能性もある」とのこと。

北東の方角に向かって配置されていて、鬼門の方角、そして、首都圏がある方角だそうです。滅びた文明のその先には栄えた都。

なんとも意味深い。

江之浦測候所 雨 ブログ 根府川石の浮橋2

浮橋を超え、壁伝いに歩いた景色もまた良い。

この道沿いには、平安時代の元輿寺礎石や、白鳳時代の川原寺礎石、飛鳥時代の法隆寺若草伽藍礎石など、貴重な石が置かれています。

また、「厠」と書かれたトイレの外壁も素敵です。

内山永久寺十三重塔・旧奈良屋門

江之浦測候所 雨 ブログ 内山永久寺十三重塔・旧奈良屋門1

「夏至光遥拝100メートルギャラリー」の下にある「円形石舞台」を、「冬至光遥拝隧道」に入らず左の方へ進むと庭園に入ります。

庭園の方へ進むと見えてくるのは【内山永久寺十三重塔】と【旧奈良屋門】。

内山永久寺はかつて大和国で有数の大寺院で、明治に廃寺になったという。永久寺の名宝は藤田美術館や出光美術館に所蔵されているものもあるそうですが、この十三重塔は豪族の家に移存されたものなんだそう。

旧奈良屋門は、富士屋ホテルとならび箱根の二大温泉旅館で、箱根宮ノ下にあった名族館「奈良屋」の別荘に至る門。

門とは別の話になってしまいますが、2001年に廃業した奈良屋は、現在では建物を再生し旅館の所有地の一部を『NARAYA CAFE(ナラヤカフェ)』として経営されているんだそうですよ。足湯も楽しめるんだって。

鉄宝塔

江之浦測候所 雨 ブログ 鉄宝塔1

旧奈良屋門をくぐると庭園が続いていますが、すぐに見えるのが【鉄宝塔】。

木造の宝塔を模して鉄で鋳造した宝塔で、」と説明に書かれていますが、木造の宝塔というのは少ないそうで、木造の宝塔を模して鉄でつくられているのもまた珍しいようです。

詳しくは説明されていないのですが、「形状から西大寺の系統に属する工人の作と推定される」とあります。

面白い。なるほど~。となる。こういう物を見ると、世の中には知らないことの方が多いことを思い知らされる。

明日香石水鉢

江之浦測候所 雨 ブログ 明日香石水鉢1

目を引くほど大きい石の水鉢は【明日香石水鉢】。

明日香石というと奈良の明日香村の石造物が有名ですが、どこで発見されたのかの説明はありません。また、時代も不詳だそうで、発見時には2つに割れていたんだそう。

江之浦測候所 雨 ブログ 明日香石水鉢2

近くで見てみると、鉢の両側に「南」「北」と彫られていて、「何かの意味があるのかな?後で調べてみよう」と思ったんですが、南北の意味やなぜ割れているのかは分かってないようです。

面白い。なるほど~。となる。世の中には答えがないもの、分からないものの方が多いという事を思い知らされる。

茶屋「雨聴天」と石造鳥居

江之浦測候所 雨 ブログ 茶屋「雨聴天」と石造鳥居1

石造鳥居】に使われている石は、古墳時代、古代、中世あたりのものなんだとか。

山形県小立部落にある重要文化財指定の石鳥居がある」と、説明に書かれていますが、日本最古の石鳥居と言われる元木の石鳥居の事だろうか。

その鳥居の形式に準じて組み立てられているんだそう。

江之浦測候所 雨 ブログ 茶屋「雨聴天」と石造鳥居2

雨聴天(うちょうてん)】と呼ばれる茶屋は、千利休が作ったと伝えられている唯一現存している日本最古の茶室建造物【待庵】を一分の寸法の違いもなく写し本歌取りしたものなんだそう。

屋根に使われているのは江之浦にあった錆びた蜜柑小屋のトタン屋根で、雨が降りトタンに響く音を聴けるんだそう。

それで「雨聴天」かぁ。おしゃれです。

春分や秋分の太陽の光が躙口(客のために設けられた小さな出入口のこと)から茶屋に差し込むのだそうです。

まとめ

実はまだまだ見どころはたくさんあります。

ただの石のように言見えてなかなか意味のあるものが多く勉強になりました。

午前の部、午後の部、違う景色が見れるんだろうな。また、夏至や冬至、春分や秋分の日にも特別に、相模湾から昇る朝日を遥拝する会も開催さえています。

同じものでも見え方が違って、何度も来たくなる。江之浦測候所はそんな場所です。

雨も悪くなかったです。むしろ、雨の感じはすごく映える(*´▽`*)