「もしもし おかあさん」
このご時世なんだか怪しい言葉に聞こえてしまいますが、絵本のタイトルです。
主人公は猫のお母さん。
友人が子猫を飼いだし「夜中にお母さんや兄弟を探して鳴いて、部屋中探している」というので、この絵本を思い出してしまいました。
思い出したら急に読みたくなって「確か家にあったはず。」と実家に帰って本棚を探しまくりました。
本棚にはなく「さすがにないか」と、あきらめながら母に聞いたところ、押し入れの段ボールに入っていました。
30年以上前に買った絵本をとっていた母に感動。
「言葉」というより、物語の内容がぐっときます。
もしもしおかあさんのざっくりした話の流れ
ある日、ゆみちゃんとけんちゃんの家で3匹の子猫が生まれます。
そして、お母さん猫は嬉しそうにしています。
散歩に行ったり子猫たちがおいしそうにミルクを飲んでいる中、お母さん猫は飲まないで待っていたり、優しさが描かれています。
ある日、子猫たちが電話で遊んでる最中にその電話が鳴って子猫たちはびっくりします。
そして、子猫たちが少し大きくなってきたある朝。
ある あさ。
おかあさんは ないてばかりいました。
ニャーン
ニャーン
「ごめんね、チビたち、もういないのよ」
子猫たちがいなくなり、お母さん猫はご飯も食べないで探します。
泣きつかれたお母さん猫は眠ってしまい、夢を見ます。
夢の中で、子猫たちから電話がかかってきます。
そこで出てくるのが「もしもし おかあさん」
子猫たちはもらわれた先から
「〇〇にいるよ。こんなことがあったんだ」
などと、それぞれお母さん猫に話します。
おかあさんは、チビたちと はなしたあと、しばらく じっと していました。
そして、おおきな ためいきをつきました。
最後は、朝になり日差しがお母さん猫の上に差し込み、お母さん猫の寝顔は笑顔で終わります。
切なかった。
子どもの頃けっこう好きで、よく読んでもらった記憶があります。
絵が好きだったから。というのはおぼろげに覚えています。
猫はかわいらしいし、色もきれいです。
お母さん猫が悲しそうにしている絵は青のグラデーションで、子どもの頃の私は少し寂しくなったのを覚えています。
大人になって読んでも、色での感情表現が見事だな。と思います。
長い話ではありません。30ページくらいですが、絵本なので半分以上は絵です。
短い話の中で、嬉しさとか喜びとか、悲しみとか切なさとか。様々な感情が描かれていて、絵と色と、ちょっとした言葉で伝わってきます。
それにしても今読むと、なんとも切なくなる物語です。
「さみしい」とか「悲しい」とか、そんな言葉は一切出てこないんです。
大人になって、いろいろな感情が分かるようになったからなのか、いろいろな事を深読みするようになったからなのか、絵本の中で笑いながら眠っているお母さん猫にさえ、泣いてしまいそうになります。
友人が飼い始めた猫のことを思うと同時に、自分の母のことを考えてしまいますね。やはり。
そしてある日急に、そこにあったものや、いた人がいなくなったら・・・。と、自分にもあてて考えてしまいます。
そんなことがあっても、いつか、お母さん猫のように笑える日が来るのだろうか。と、だいぶ深読みしてしまいました。
しすぎました。
子どもだけじゃなくて、学生や大人が読んでも何か感じられる絵本じゃないかな。と思います。