初めて手に取ってパラパラっとめくった「シャクルトンの大漂流」は、今まで出会ったことのないような絵本でした。
「なんてオシャレなの!」
というのが第一印象で、色使いや構図がキレイで見とれてしまいました。それも含めてオシャレな絵本。
とはいううものの、題名は「大漂流」なので、漂流する話です。
「シャクルトンの大漂流」ざっくりしたあらすじ
20世紀初頭,GPSも携帯もない時代.南極をめざして出航したエンデュアランス号は,巨大な流氷にはばまれて座礁してしまう.だが,氷上にとりのこされた28人の乗組員たちは,決してあきらめなかった.実話にもとづく,とほうもない勇気と冒険の物語.デビュー作にして,ケイト・グリーナウェイ賞史上最年少受賞作.
岩波書店ホームページより引用
およそ100年前に実際に南極大陸の横断に挑んだ、アーネスト・シャクルトン率いる南極探検隊のお話です。
シャクルトンが南極に遠征するのは3回目。資金を集め隊員を募集するところから書かれています。
オシャレだな~と思ったのが、乗組員全員の名前と役割が見開き2ページに書いてあるところ。服装や色味などがすべて違ってみていて楽しい。
そのあとに、南極に行った船【エンデュアランス号】についても細かく説明されていて、模型のような絵も書いてあるので分かりやすいです。
ちなみに、シャクルトンは【エンデュアランス号漂流記】と言う探検記本を出版しています。読もうと思いました。
出発したエンデュアランス号は氷山に行く手を阻まれ身動きが取れなくなります。
その後17カ月に及ぶ、生還するまでの遭難の話が書かれています。
こと細かく書かれているわけではありませんが、70ページで文字もあるので読みごたえはあります。
「シャクルトンの大漂流」は大人向け?子供でも楽しめる?
読み始めると絵本のわりに難しい言葉も出てくるし漢字も多いので、小学生以下の子供には難しいだろうと思いました。
う~む。もしかしたら小学校の低学年でも難しいかもしれない。とも感じました。
(と思ったら、小学3~4年生~と書いてあった。)
そもそもこれが私の固定概念で、おそらく楽しく読む子供もいるだろう。
そして、この絵本を楽しく読める子供は将来冒険に出るだろう。
なんて妄想もしました。
もしかしたら大人向けなのかもしれない。とも思いました。
新しく作った居住スペースを、高級ホテルにちなんで「リッツ」と名付けたところなんかは子供じゃわからない。
また、「エンデュアランス号」の【エンデュアランス(不屈の忍耐)】は、シャクルトン家に代々続く「不屈の忍耐にて我らは困難を克服す」という家訓から名づけたんだそう。
不屈の忍耐と言われても、現代っ子にはわからない感覚だろう。
でも、自分が子供の時のことを思い出したら、読み聞かせてもらっても自分で呼んでも、思い出すのは絵本の色使い。
これは私のことになってしまいますが、色がキレイで柔らかい印象の絵本がすごく印象的に覚えています。
「ノンタン」も読んだし「ぐりとぐら」も読んだ。でも、この本覚えてるな~っていうのは「モチモチの木」とか「しろいうさぎとくろいうさぎ」とか、絵のインパクトが大きいものです。
前にも書いた「もしもしおかあさん」も色がキレイで好きでした。
そう思ったら、少し難しいですが子どもの印象に残るような、見て楽しむような、そんな絵本なのかも。
セリフなどはほとんどないので、子供には感情移入が難しいのかな。と思うところではあります。
ブルーを基調としていて、薄いブルーや濃いブルーで柔らかさや荒々しさが伝わってきます。
その中に黄色や茶色が入ってくると、南極なのに暖かさも感じます。
写真集のように見ると面白いです。いや、図鑑かな?何度も見返してます。
何度見てもキレイでオシャレ。
そして、何度読んでも犬のところは切ない。
冒険に参加する犬はいつも切ない。
飢えや脱水症状、凍傷や壊血病などのことも少々書いてあります。
相当過酷だったのでは?と想像しますが、この絵本では細かくは書かれていません。
シャクルトンの本はいくつか出ているので、読んでみるのも面白いかもしれません。