心にぐっとくる本

アランの【幸福論】おすすめはどの翻訳?何冊か読んで比較してみた

アランの幸福論を読もうと思った時に、何冊もあって迷ってしまいました。

迷った末に何冊か読んで、翻訳でこんなに違うんだな。ということが分かりました。

どの翻訳が読みやすいか比較して読んでみました。

アランの幸福論は難しい?

アランの幸福論が難しいか難しくないか。人によっては難しいという人もいるでしょうし、人によっては分かりやすいという人もいると思います。

アランの【幸福論】はプロポという形式で書かれていて、一つの区切りが3~4ページになるので決して読みにくいという事はありません。

私としては、難しいと感じるところもありましたが、「分かる!」と思わず納得してしまう部分もありました。

難しいと感じるのは、詩のような言い回しで抽象的に書かれているところなどです。色々な翻訳で比べてみましたが、難しいと感じるところは難しい。

難しいというよりも抽象的だから理解できない?できてない?そういう感じ。

「本」と言うのは自分の中で自由に解釈して良いと思うのですが、解釈できないようなことに関しては難しいと思ってしまいます。

それとやはり、難しいというのは翻訳の違いもあると思いました。文章の言い回し、使う単語や言葉、段落、句読点など、人によって違います。

アランの文章は独特で、原文は句読点が多かったり接続詞が少なかったりするんだそう。

フランス語で書かれたアランの【幸福論】は、英語やドイツ語などに翻訳されていますが、英訳から翻訳したのかフランス語から翻訳したのかでも変わるのかもしれませんよね。

アラン【幸福論】おすすめ

アランの幸福論を何冊か読んでみて、私の中で「コレが読みやすい」という順に並べてみました。

あくまでも私が読みやすいと思ったものです。

というのも、友人から借りた本が難しくて言い回しが苦手で読めなかった経験もあります。反対に、友人に私が勧めた本を「ごめん、読めなかった」と返ってきたこともあります。

だからつまり、個人差はあるので悪しからず。

【幸福論】アラン(村井 章子 訳)

発行:日経BP社

5色のカバーを選べるという村井章子さんの翻訳本。

元々はビジネスパーソン向けにweb上(日経ビジネスオンライン)で「毎日読むアラン」として連載されていたもので、読みやすくするために接続詞を補ったり改行をしたりしているそう。

ちなみに、そう言った原本とは異なることを「読者のお許しを願わなければなりません」とも書いてあります。

ビジネスパーソン向けとはいうものの、一般的にも読みやすくなっている翻訳です。

何冊か読んだうえで、村井 章子さんの翻訳が一番読みやすいと感じました。

難しい言葉をあまり使っていないこと。言い回しが日本人になじむようになっていること。文の流れでも内容を理解しやすいようになっていること。

文字のサイズもちょうどよく、行間も広く、そういった読みやすさもあります。

小学生が書いたもの?と思うような途中で入っている挿絵が独特で、なんだかほっこりしてしまいます。

単行本サイズでソフトカバーになっているのですが、本の中で使われている紙も厚みがあり、全体的にもかなり厚みがあります。これだけは欠点なのかな。持ち運びには不便です。

ただ、この紙の厚さだからこそ読みやすいというのもあります。わら半紙のような質感。私はかなり好きなんですが、個人差はあるかも。

【幸福論】アラン くじけない楽観主義(住友 進 訳)

発行:日本能率協会マネジメントセンター

アランについて、アランが生きた時代やその背景が描かれているのも良かった点です。その解説が非常にが分かりやすい。人物や物事について後で説明が書いてあるものもありますが、この本は本文の下に説明が書かれています。しかも細かく。

「三大幸福論」の一つであるアランですが、ヒルティやラッセルのことにも少し触れています。また、本文にも出てくるアランが影響を受けた、スピサノやデカルトのことも紹介されています(簡単ではありますが)。

年表では日本の年代と比較しているのも分かりやすさの一つだと思います。

2017年に発行されている「【幸福論】アラン くじけない楽観主義」は、比較的新しく翻訳された本なので読みやすさは上位です。

他の本に比べて情報量が多く、文章や言い回しも分かりやすいと感じました。が、本文の翻訳に関しては、村井 章子さんの翻訳の方が簡単な言葉使いであるという印象です。

【幸福論】アラン(串田 孫一、中村 雄二郎 訳)

発行:白水社(白水Uブックス)

初めて読んだ【幸福論】の言い回しが少々難しく、その次に読んだ白水社の【幸福論】です。

難しく思う部分もありますが、日本語の表現や言い回しはかなり読みやすく感じました。言葉として目に飛び込んでくる印象は少ないのですが、文章がやわらかい。「なるほど、翻訳でこんなにイメージが変わるんだな」と思った一冊です。

「文章がやわらかい」と言うとかなり抽象的になってしまいますが、滑らかともいうべきなのかな。翻訳者の優しさが出てる気がします。

串田 孫一さんのほかの本の文章について、「言葉に対して丁寧で易しい」と言った感想も見かけました。

「名言として自分の中に残したい」という人には不向きかも。

読みやすさを求める人にはお勧めです。

アラン【幸福論】(宗 左近 訳)

発行:中央公論新社

宗 左近さんによる翻訳は1965年に初版されたものですが、私が読んだのは解説が加えられ新たに発行されたものです。

初めて読んだ【幸福論】が宗 左近さんの翻訳で、言い回しや日本語表現が少し難しいかな。という印象を受けました。初心者には不向きかもしれませんが、少々難しい言葉使いが、時として心に残ることがありました。

例えば13の「事故」で書かれたもの。

苦痛は「見られたがり」で、想像力は「でしゃばり」

他の翻訳にはなく、なんとなくハッとしてしまうような言葉使いです。

「今日の人権意識に照らして不適切な語句や表現があるが、訳者が故人であり、本書が発表された当時のままにした。」と、本の最後に記載されています。

解説は小倉 孝誠さんによるもので、本の冒頭に書かれています。解説の中には、アランの生きた時代、アランの生い立ち、現代の幸福論なども書かれています。

最初は解説も難しいなぁ。と思ったんですが、本文を読んでから解説を読み返してみたらかなり分かりやすかったです。いや、むしろ、この解説にすべてが書かれているんじゃないか。そう思える解説文。

他にも解説が書かれている翻訳もありますが、小倉 孝誠さんの解説は良かった。

解説だけでも読む価値ありです。

アラン【幸福論】おすすめ番外編

アランの幸福論が難しいと思う方やもっと分かりやすいものを読みたいという方には、漫画や部分訳、解説本なども良いと思います。

本屋や図書館にに置いてあるものは、原文の翻訳(93のプロポ)が全部載っているものよりも、部分訳や解説本の方が多かったかも。

心と身体に響く、アランの幸福論(合田 正人)

発行:宝島社

「心と身体に響く、アランの幸福論」は翻訳本ではなく、NHK「100分de名著」の解説を務めた明治大学の合田正人教授が解説されている解説本です。

合田 正人さんによるアランの幸福論は「心と身体に響く、アランの幸福論」以外に、「NHK「100分de名著」ブックス アラン 幸福論」と「NHKテレビテキストNHK「100分de名著」」がありますが、解説としては「心と身体に響く、アランの幸福論」の方が情報量が多いかな。という印象です。

本の中には「どれでもいいので、自分の気に入ったものを選んでぜひ読んでみてください」とあります。また、「不必要に難しい語りは避けますが、内容の水準は下げません」とも書いてあります。

NHK「100分de名著」のものをまとめたものなのかな?

1度読んでみたけど良く分からない。もっと詳しく知りたい。そんな方にお勧めな解説本です。

「NHK「100分de名著」」か「心と身体に響く、アランの幸福論」で迷うなら、私なら「心と身体に響く、アランの幸福論」を選ぶかな。

【アランの幸福論】(齋藤 慎子 訳)

発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン

齋藤 慎子さんの「アランの幸福論」では、翻訳が全部載っているわけではなく部分訳。

ちなみに、川北 義則さんの翻訳(親書)もすべて翻訳されているものではなかった。本屋で見かけてパラッとめくっただけですが、学生の参考書的な場所にあったので初めて読む人のための導入としては良いと思います。

齋藤 慎子さんの翻訳は部分的なものではありますが、とにかくきれいな文章。流れるような滑らかさ。そんな印象を受けました。

1度読んだけど難しかった。途中でやめてしまった。名言として読みたい。全体的にどう言ったことが書かれているか知りたい。

導入としてで良いのであればおすすめです。

ハードカバーのほかにもエッセンシャル版として文庫版も出ています。文庫版のカバーは2種類あり、花柄のものは期間限定だそう。

まんがで身につく幸福論~仕事と人生を豊かにするアランの言葉

発行:あさ出版

アランの幸福論の漫画も何冊かありますが、「まんがで身につく幸福論~仕事と人生を豊かにするアランの言葉」はビジネスコミックシリーズの中の1冊です。

全てが乗っているわけではないですが、漫画の後に解説もあるので分かりやすいと思います。

漫画の中で仕事場の舞台は出版社で、主人公が女性でアランの事を出してくるのは先輩という設定なんですが、「なるほど。これは分かりやすいな」と思った漫画です。

「主人公よ、大人になれ」と突っ込みたくなるところはありますが、最後の方は「それは仕事ではなく青春なのでは?」と思うようなところもありますが、読みやすく分かりやすかったし、導入としては良いと思います。

何件か本屋を回ったのですが、漫画のアランはこれしかなかった。ので、他のを読んでません。悪しからず。

今度こそ読み通せる名著 アランの「幸福論」(笹根 由恵 訳)

発行:ウェッジ

笹根 由恵さんの翻訳本で、読み始めて流れもあって文章も柔らかくて読みやすくて、もしかしたら村井 章子さんの翻訳より読みやすいのでは!?と思った「今度こそ読み通せる名著 アランの「幸福論」」です。

なんですが、読み進めているうちに「あれ?載ってない翻訳がある?」と気づきました。

あとがきに書いてありました。「日本人に共感できるようなものを選んで載せています」とのこと。アランの幸福論は93のプロポですが、半分ほどの翻訳です。

なるほど、文字の大きさの割には厚さがなかった。

全部の翻訳が載っていたら一番理解しやすいかもな。と思いましたが、解説が少ないというのもマイナス点かな。

全文が載っていないのであれば、解説本や、齋藤 慎子さんのエッセンシャル版や漫画の方が分かりやすさは上かな。と言う感じです。

是非、93のプロポを収録したバージョンを作って欲しいと思いました。

まとめ

本屋をまわってみたり図書館へ行ったりしましたが、新しく翻訳された本が多かったのと、「昔ながらの」的な翻訳本がなく読めていないので載せていません。

ただ、「アランの幸福論」の新しい翻訳の本の中には、参考として先人たちの出した翻訳本が載っているものもありました。

なので、ちょっと難しいな、と思ったら、新しい翻訳を読んでみても良いかもしれません。

何冊か読んで、言葉の言い回しで難しいと感じることもあれば、行間や文字の大きさの違いで読みにくくなることもありました。

なんですが、難しいと感じる翻訳の言葉が心に留まることもあります。

例えば、最後のプロポ。題名も違えば出だしも違います。

【幸福論】アラン(村井 章子 訳)
『幸福になるという誓い』
悲観主義は気分に、楽観主義は意思による。

【幸福論】アラン くじけない楽観主義(住友 進 訳)
『幸福への誓い』
悲観主義は情念から生まれ、楽観主義は意思から生まれてくる。

【幸福論】アラン(串田 孫一、中村 雄二郎 訳)
『誓うべし』
悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意思のものである。

アラン【幸福論】(宗 左近 訳)
『誓わなければならぬ』
悲観主義は気分に由来し、楽観主義は意思に由来する。

【アランの幸福論】(齋藤 慎子 訳)
『誓わなければならない』
悲観主義は感情からくるもの、楽観主義は意思からくるもの。

まだ本を読めていないし、見つけられていないのですが、集英社から出ている白井 健三郎さん訳によるもの。
悲観主義は気分に属する。楽観主義は意志に属する。
読みにくいという口コミもありますが、読んだら追記時したいと思います。

言っていることは一緒かもしれませんが、題名も違えば翻訳も違って、受ける印象が変わりますよね。

私としては、「属する」っていうのが引っかかってしまうワードなんですが、「少し難しい。」という口コミもあります。

何冊か読んでみて決めても良いかもしれませんよね。「自分が読みやすいもの」「何冊か読んでみて」などと書かれているものもありました。

単語とか一節とかで入り込んでくる言葉ってありますが、言い回しや他の言葉の羅列が分かりにくいものは読みにくいこともあります。

今回は、私が読みやすいと思った順に並べましたが、時間があったら本屋へ行って読み比べてみるのも良いかもしれませんよ。