「あめんぼあかいなあいうえお」
これはもうぜったい聞いた事のあるフレーズですよね。
教科書に載ってたか、昔の教科書を資料館で見た時に載ってたか。
何十年も前の事なので記憶があいまいですが、しかし、教科書に載ってたのは間違いない。
そのくらいみんな知ってるものではないでしょうか。
「あめんぼあかいなあいうえお」を発声練習に用いることもありますよね。
北原白秋【五十音】全文
あめんぼあかいなあいうえお (水馬赤いなあいうえお)
うきもにこえびもおよいでる (浮藻に小蝦も泳いでる)かきのきくりのきかきくけこ (柿の木栗の木かきくけこ)
きつつきこつこつかれけやき (啄木鳥こつこつ枯れ欅)ささげにすをかけさしすせそ (大角豆に酢をかけさしすせそ)
そのうおあさせでさしました (その魚浅瀬で刺しました)たちましょらっぱでたちつてと (立ちましょ喇叭でたちつてと)
とてとてたったととびたった (トテトテタッタと飛び立った)なめくじのろのろなにぬねの (蛞蝓のろのろなにぬねの)
なんどにぬめってなにねばる (納戸にぬめってなにねばる)はとぽっぽほろほろはひふへほ (鳩ポッポほろほろはひふへほ)
ひなたのおへやにゃふえをふく (日向のお部屋にゃ笛を吹く)まいまいねじまきまみむめも (蝸牛ネジ巻まみむめも)
うめのみおちてもみもしまい (梅の実落ちても見もしまい)やきぐりゆでぐりやいゆえよ (焼栗ゆで栗やいゆえよ)
やまだにひのつくよいのいえ (山田に灯のつくよいの家)らいちょうはさむかろらりるれろ (雷鳥は寒かろらりるれろ)
れんげがさいたらるりのとり (蓮花が咲いたら瑠璃の鳥)わいわいわっしょいわゐうゑを (わいわいわっしょいわゐうゑを)
うえきやいどがえおまつりだ (植木屋井戸換へお祭りだ)
首を右に左に傾けながら読みたくなります。
個人的には タ行が好きです。「とてとてたった」。言いにくい!でも言いたい!
小躍りしたくなるリズムですよね。
これを早口で全部言えたら、相当気持ちいいですよ!
そして、
という勉強。
喇叭(らっぱ)や、蛞蝓(なめくじ)も漢字の勉強になるし、蝸牛(まゐまゐ)は「かたつむり」です。
「あめんぼあかいなあいうえお」の本文と意味
上の分は分かりやすくひらがなで書きましたが、本文は「水馬赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。」と、「あいうえお」「かきくけこ」の部分がカタカナです。
水馬赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。浮藻(うきも)に小蝦(こえび)も泳いでる。
柿の木栗の木。カ、キ、ク、ケ、コ。啄木鳥(きつつき)こつこつ枯れけやき。
大角豆(ささげ)に酢をかけ、サ、シ、ス、セ、ソ。その魚浅瀬(うをあさせ)で刺しました。
立ちましょ、喇叭(らっぱ)で、タ、チ、ツ、テ、ト。トテトテタツタと飛び立った。
蛞蝓(なめくじ)のろのろ、ナ、ニ、ヌ、ネ、ノ。納戸にぬめつてなにねばる。
鳩ぽっぽ、ほろほろ。ヘ、ヒ、フ、ヘ、ホ。日向のお部屋にや笛を吹く。
蝸牛(まゐまゐ)、螺旋巻(ねぢまき)、マ、ミ、ム、メ、モ。梅の実落ちても見もしまい。
焼栗、ゆで栗、ヤ、イ、ユ、エ、ヨ。山田に灯のつく宵(よい)の家(いへ)。
雷鳥(らいてい)は寒かろ、ラ、リ、ル、レ、ロ。蓮花が咲いたら瑠璃の鳥。
わい、わい、わっしょい。ワ、ヰ、ウ、ヱ、ヲ。植木屋(うゑきや)、井戸換(ゐどが)へ、お祭りだ。
北原白秋は、「あめんぼあかいなあいうえお」を語呂合わせで作ったのではなく、各音を歌いながら子供に覚えてもらうための物なんだそう。
北原白秋100選の中で、動揺研究者の上田信道はこう言っています。
音の本質である≪色声香味触≫を五十音の各行にわたって歌いながら味得させようとして、まず自分自身の感覚の風味を企てた唄である。今の小学教学に於て音を表現する文字の形は教えるが、音そのものの感覚的本質については何も教えない。
ちなみに「色声香味触」とは、六境と言う【色声香味触法】という仏教用語があります。
色:見た目
声:音
香:匂い
味:味わい
触:触覚
法:思考
この「法(思考)」がないのも「五十音」の詩の本質なのかもしれません。
つまり、難しい事を考えない言葉遊びとして、子供たちが覚えるという事。
「アメンボはなぜ赤いのか?」という疑問もありますが、あまり深い意味はないのかもしれません。
子どもって、心地の良いリズムが好きなんですよね(。-∀-)
「あめんぼあかいなあいうえお」で発声練習
「あめんぼあかいなあいうえお」の全文は、発声練習でも用いられることがあります。
高校の頃に芸能事務所に入っている友人がいて(余談ですが、今は主婦業に徹しています。)、「あめんぼあかいなあいうえお」を披露してくれました。
って、知りませんでした。友人が教えてくれて知りました。勉強をしてこなかった人生なもので、おはずかしい。
続きを聞いた時の気持ちよさったらなかったですね。
「なんだ!このリズムは!気持ちいい!」と、ぐっときてしまいました。
さらに、「北原白秋だったんだ!」と、知りませんでした。これまたお恥ずかしい(;・∀・)
詩だったんですね。教科書で見たはずなのにね💦 「五十音」という題名だったというのも、何もかも知らなかっ・・・💦
ん。で。
劇団員の方やアナウンサーの方はみなさんこれで発声練習するらしいです。
早く言う練習や活舌を良くするために行うんだそう。発声練習はお腹の中から声を出すのも目的です。
「あめんぼあかいなあいうえお」の他にも、「あえいうえいあお」もありますが、こちらも同じように発声練習で用いられますよね。
「あえいうえいあお」の方が、口の開きや顔の筋肉を鍛えるんだそう。
何でも良いんですが、例えば、私が良く歌っていたのが「ブンブンブン蜂が飛ぶ♬」です。
ブルンブルンブルン はらちりがらとろぶる
と、言葉の間に「ラ行」の同じ段(「は」だったら「ら」、「ち」だっら「り」と同じ母音のラ行)を入れて歌ったりしゃべったりすると舌が鍛えられますよ。
歌舞伎の「外郎売(ういろううり)」や、落語の「寿限無(じゅげむ)」も、活舌の練習として使われます。
日本では昔から、言葉遊びがあったんだなぁ。と分かりますよね。
まとめ
ちなみに母は、トイレで「あめんぼあかいなあいうえお」だけを繰り返してます。
お経でも読んでるのかと思いました。
あ行だけで何のための発声なのやら。
「しっ。黙って!何か聞こえる!」って言ったら、
まだ小学生だった甥っ子は「へっ!何か聞こえるぅ」とちょっとビビってました。
顔がこわばっててかなりかわいかった。
北原白秋の詩集には、この他にも「あ、これもそうだったんだ」というのが乗ってました。
リズム感が最高な詩人。