心にぐっとくる本

シャクルトンの名広告【そして奇跡は起こった】。リアルで勉強になる

こころにぐっとくる本

前回「シャクルトンの大漂流」を読んでから、さらに細かくシャクルトンのことを読みたいと、「そして、奇跡は起こった」を読みました。

リアルすぎて色々と思うところもあって、シャクルトンを「リーダーシップのお手本」などという意見もありますが、本を読んでいる限り全然そんなことはなく、でも、最後には目尻に涙が浮かんでいた。

久しぶりに本で泣いたわぁ~(*ノωノ)

「そして、奇跡は起こった」のざっとしたあらすじ

「そして、奇跡は起こった」は、17ヶ月間も遭難し生き抜いたシャクルトンとその隊員たちの実際に起こった話を書いたノンフィクションです。

20世紀のはじめに、南極点をはじめて踏むことができなかったシャクルトンが南極大陸横断を目指し、その途中で氷に道をふさがれ身動きが取れず遭難してしまいます。

その遭難から、様々な試練を乗り越え全員が奇跡の生還を果たします。

非常に読みやすくスラスラ読めるのもイイです。

下に余白があり、必要な部分に説明が補足されているので分かりやすいし、すごく勉強になります。

物語としてはすでに結末が分かっている。なのに読んでいてハラハラしてしまう。そんな本です。

本の中には実際の写真が載っています。だからこそリアルに感じ取れるというのもあります。

遭難しているのに笑いあっている写真、めちゃくちゃになったエンデュアランス号、「その船で海へ出るのか!?」と驚くほどの船、景色の壮大さ。

この写真を見るだけでも、この本を見る価値があると思えるほどの写真です。

本の中でも説明がありますが、遭難した際に荷物を減らさなくては行けなくなり、ガラスの写真板を減らしたんだそう。そんな貴重な写真です。

物を捨てなくてはいけなくなった時のシャクルトンが船員たちに言ったこともなんとも現代に通じるのでは?と個人的にグッと来てしまいました。

生きのびたければ身軽になれ。非常になって、物への愛着を断ち切れ。そして装備ではなく、自分自身の野性を信じろ

ここ数年、断捨離に始まり、色々な事がシンプル化してきていると思います。たまたまスマホの料金見直しのニュースを見た時だったので余計にそう感じてしまいました。

シャクルトンの名広告文

シャクルトンが南極へ行く際、船員を募集しています。その時に新聞に出した広告文です。

冒険に行きたい男子を求む。収入少。極寒。まったく太陽を見ない日々が数カ月続く。危険が多く、生還の保証はない。成功した場合にのみ、名誉と賞賛を得る。

この募集に対して5千人もの応募があり、その中には女性や少年もあったと記載されています。

カッコいい。

実は求人広告というのは、出す側も考えて出さないといけない。というのを聞いたことがあります。

例えば、広告主側が「こういう人材が欲しい」と思った時にただやみくもに募集をしてはだめで、細かい条件やネガティブな事も記載した方が良い。というもの。

細かい条件や、それに伴うネガティブな事を記載することで人材が絞られて、面接などの時間も省け欲しい人材を見つけやすくなるという事。

この広告文はカッコいいだけではなく、ものすごく簡単ですがそういった要素も含まれているのでは?と思いました。

それにしても女性や子供の応募もあったというからすごい。

「そして奇跡は起こった」は勉強になる

この本は南極に言ったことのない私からしたら、読んでいて非常に勉強になりました。

・南極は冬になるとマイナス70度にも達し毎分50平方キロのスピードで凍り始め、その氷はアメリカ合衆国の約2倍近くの大きさになる。

暴風地帯によって寒さが変わるそうで、その寒さに対し昔の船乗りが付けたあだ名が記載されています。

南緯四十度から南緯六十七度までの海域に対して、昔、船乗りたちがつけたあだ名がある。

わめく四十度、どなり狂う五十度、絶叫する六十度・・・・・・。

いやぁ、体験してみたいと思う反面、自分は生きていけないんじゃないかと思います。

・南極は1億6千年前のジュラ紀には夏の時代もあり、亜熱帯気候でしか生息できなかった動物が生息していて化石も見つかっている。

・南極大陸が今まで氷に覆われなかった場所は南極のわずか1%

・南極は実はものすごく乾燥している。(地球上でもっとも乾燥しているんだそう)

・世界中の雪と氷の90%は南極にある。(氷の種類も書いてあり勉強になります。)

・これまで最も北で見つかった氷山は、リオデジャネイロど同じ南緯36度の位置。

勉強になる部分が所々に散りばめられていて、読んでいて楽しかった。

天文学のことも少し触れていておもしろかったし、捕鯨基地についても書かれていて、なんともリアルです。

捕鯨基地は殺伐としたところだった。真夜中の太陽の下で、シロナガスクジラやザトウクジラの死体がくさっている。港は血で赤く染まり、工場のまわりは油でギトギトしている。工場でクジラの脂肪を煮詰めているため、油っぽい煙をすさまじい臭いがまきちらされていた。

ちなみに、この文の横には写真も載っています。それがまたリアルだし、昔の人間はえげつなかったのかしら?と考えさせられます。

痛々しいリアルで言うと、凍傷や犬のことも書かれています。

「水泡ができ体液が流れ・・・」とありますが、それが自分の皮膚感覚とリンクしてゾワッとしてしまいました。

犬はね、切ないです。

文章が分かりやすいのと読みやすく頭に入ってくるので、自分の体に感じたら。と思うとリアルに読めてしまいます。

リーダーシップについて

シャクルトンにはリーダーシップを学べるという事がしばしば言われていますが、この本を読んでいる限りではそこまで細かいことは書かれていませんし、「本当にそうだろうか?」と疑問に思ってしまいます。

どこをどう探検するのか、考えられる危険にどう対応するのか、といった細かいことは決められていない。同時代の多くの探検家と同じく、シャクルトンは”その場で考える”という主義だった。考える必要性が生じたときに考えればよい。十分な装備と優秀な部下さえいれば、計画をやりとげるだけの力が自分にはあると信じていた。

自信だけかい!?

と思いますが、とにかく細かいことは書かれていないのです。

本を読んでいると、一緒に南極に行った部下がとても優秀です。全ての隊員のことは書かれていませんが、一人一人のポテンシャルが非常に高いと感じます。人材選びにたけていたのではないか?と思いましたが、「人を見る目があった」とあとがきにも書いてありました。

その他、本分にはないエピソードが書かれていて、「あぁ、なるほど。リーダーとしての才能とはそういう事か」となりました。

リーダーシップに関してはあとがきに書いてあるので分かりやすい。

最後に、シャクルトンが好きだったという、ニュージーランドのスクールソングが載っています。

手を招く白い道に、困難な坂道に、
勇気を奮い立たせる危険に幸(さいわい)あれ。
苦も楽も平然と受け止め、
決してくじけることのない、
陽気な心に幸あれ

普段パソコンの前で働いていると、体で困難や危険を感じることってあんまりないと思うんです。

もちろん職業によっては違うかもしれませんが、精神的に頭で感じることの方が多い。

それでも現代社会にも通じるような歌だと感じました。

私も平然として受け止めたいな。すぐお腹痛くなっちゃうからな。陽気な心を持ちたいわぁ~。

シャクルトンは楽天家だったと言われています。自ら楽天的な考え方をしていたのかもしれませんね。それが冒険家として、リーダーとして魅力だったのかも。

「そして、奇跡は起こった」は、勉強としても、100年前のリアルを目の当たりにできる本でした。

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