心にぐっとくる漫画

いくえみ綾【朝がくる度】自分に軽く絶望しても前に進もうとしてる

心にぐっとくる漫画1

【朝がくる度】は短編で、他にも「いちごの生活」「しつもんしよう。」という話も入っています。

「しつもんしよう。」は6ページの4匹の猫だけのお話です。話?インタビュー?

これがけっこうかわいい。

でも、「朝がくる度」と「いちごの生活」はけっこうドロドロ系。

2001年に発行の漫画ですが、この辺の前後くらいからドロドロ系が以前とは違ってけっこうハードになってる気がします。

それでも共感してしまうこの感じは、なんなんだろう。

※注意:ネタバレあります

【朝がくる度】のあらすじ

一言で言うと、シスコンで変態の大学生の話です。そして、けっこうやな奴なんですが、なぜか愛せてしまうキャラ。

大学生の啓久(ひらく)は、じーさんが入院し久しぶりに実家に帰ることに。そこについてきたのはホモ(バイ?)の友達・やっさん。実家に帰ると誰もいず、かわいがっていた犬もいない。かわいがってた犬は死んでしまっていたのです。

妹の亜子とじーさんの見舞いに行くが、妹との会話がきっかえでやっさんに「帰ろう」という啓久。

朝がくる度

また一日が始まると思って
また今日もおんなじ自分なんだとかるく絶望して
なんにも どこにも 行けないまんま また眠るんだ 毎日

学校で、付き合っていた(?)女の子(エミ)に「妊娠した」と言われ、「今 金ないからもう少し待って」と言う啓久。

そこそこのクズっぷりなのです。

啓久がエミを気にかけたのは、「毛糸のパンツをはいてたから」。

なかなかの変態っぷりなのです。

アパートに帰ると妹の亜子が来ていて、「私妊娠したかもしれない」と聞かされる。亜子の相手は学校の先生。

エミは啓久が財布に入れている可愛がっていた犬の下にもう一枚妹の写真が入っていることを知っていて、そこのとを亜子がいる前で啓久に言うのですが、啓久エミに殴り掛かります。

はなはだもって、シスコンでゲスなのです。

啓久が唯一仲の良かった池田と亜子が付き合うことになって、池田と切れた啓久は友達がいなかったという。

啓久の心の中はドロドロでぐちゃぐちゃであわわわ。

お兄ちゃんがなんで友だちが少ないのかわかるよ
おにいちゃんて自分しか見てないもん

と亜子に言われてしまう啓久。

ほんとに
ちっともいいところがない
だけど
前に進もうとしてるんだ

そこそこのクズで、なかなかの変態で、シスコンでいいところのない啓久ですが、話の中に出てくる人たちは、みんな啓久のことが好きなんです。

啓久は自分のことしか考えてない?

自分のことしか考えられなくなってしまうことってあると思うんです。自分の余裕がない時とか、頭の中にある悩みの種がでかい時とか、自分が嫌いな時とか。

知らない間に人を傷つけていることもあるだろう。

自分の考えにとらわれて変わりたいけど変われないこともある。これがけっこう辛かったりしてしまう。

啓久のように。

毎日、何年も、踏みとどまって、そこから抜け出せない辛さ。

それでも前に進みたいという気持ち。

きっかけはどうあれ、日常でそんな気持ちになる時もあると思うんですが(やっぱり私は根暗なのかな?)、前に進んでいる状況じゃなくて、踏みとどまてしまっていても前に進みたいという気持ちが描かれているのがいい。

解決策がどうのじゃなくて、自分に軽く絶望しても前に進もうとしてる。

啓久はシスコンだけど、本当はクズでもゲスでもなくて本当はちゃんと考えてて、そんな中2病の彼を憎めないのです。

【朝がくる度】主な登場人物

早島啓久(はやしまひらく)シスコンの主人公
早島亜子(はやしまあこ)啓久の妹
やっさん大学の友達でバイ
黒須エミ(くろすえみ)大学で出会った女の子
犬山死んでしまった早島家の飼い犬

たまに出てくるじーさんやお母さんのキャラクターもすごくかわいらしい。なんなら、4コマしか出てこない父親もなんだかいい。

 

ちなみに、同時に収録されている「いちごの生活」。

主人公の「苺」。付き合ってたうっちゃんに好きな人ができて、その子とうっちゃんを折半する話です。

うっちゃんが好きになった女の子は16歳で高校中退してて美人系の桐島奈月。奈月のサバサバしてる所が私は好きかな。

16歳なのにサバサバ。良いです。

話の内容は好みが出ると思うんですが、根暗な私は「朝がくる度」にが好きですかね(´-ω-`)