私が初めて今敏監督の作品を見たのは「パプリカ」でした。
以前から気にはなっていたものの、なかなか見る機会がなく作品を見たのは亡くなられた後でした。
とにかく音楽に惚れてしまい、映像との調和が心地良かったのを覚えています。
「なぜもっと早く見なかったんだ!?」という思いと共に、何とも言えない世界観にどっぷりはまってしまいました。
今敏さん
まず、読み方が分からない。というのが第一印象。
「こんさとし」と読みます。
2010年8月24日、46歳の時に膵臓がんで亡くなられてます。
ご本人は漫画家としてデビューし、大友克洋さんのもとでアシスタントをして、その後アニメーションの監督になっています。
映画のほか、「ジョジョの奇妙な冒険」や「MASTERキートン」などでも作品参加されてます。
「PERFECT BLUE」 1997年
アイドルとして活動していたみまは、事務所の方針で女優の道を目指し、イドルグループを辞めることになります。
はじめは中々セリフももらえないんですが、その中で過激なシーンやヘアヌードの仕事をするようになります。
作品中では戸惑いながらも笑顔のみまですが、幻想を見るようになっていきます。
その幻想も、見てるこちら側もどれが本当で、どれが幻想なのかわからなくなるような、巧妙な上手さを感じます。
1997年なので、ストーカーなどの現代の言葉が出てきた時代。
今はおかしな犯罪が増えていますが、その先取りだったように思えます。
アイドルは必見。かな?
「千年女優」 2001年
キャッチコピーは「その愛は狂気にも似ている」
なんともおぞましいキャッチコピーですが、見た後に「狂気だったのかも。」と思わされました。
あらすじとしては、芸能界を引退した女優「藤原千代子」が取材に応じ、その時に昔なくした鍵を渡されます。
その鍵は何の鍵なんですかと聞かれ、手渡されたそのカギを見て、
「一番大切なものを開ける鍵・・・」
という所から時代は変わり、女優になるきっかけからその鍵についてが描かれていきます。
現在と過去と未来を行ったり来たり。それは現実なのか、藤原千代子が演じているのか。
そのシーンを現代のカメラマン達が追っていく。という斬新な描き方で、パーフェクトブルーの時とは少し違った時間の流れを感じます。
これもまた面白い。
「東京ゴットファーザー」 2003年
他の3作品とは違い、少し・・大分コミカルな作品です。
あらすじは、元競輪選手だというギン、元ドラァグクイーンのハナ、家出少女のミユキの三人のがホームレスとして共同生活をしています。
あるクリスマスにハナが公園で捨て子を見つけ拾うんですが、三人でその子の親を探しに行きます。
道中で色んな事件に巻き込まれながら話は進んでいくんですが、その事件が色んな所につながっていく。
という、これまた巧妙に作られた話で面白かったです。
声優も面白い。ギンちゃんは江守徹さん。ハナちゃんは梅垣義明さん。ミユキは岡本綾さん。
なんだか、合ってます。ほっこりする作品です。
江守さんはけっこう声優や吹き替えもされてますね。知らなかった。
最近では俳優さんが声優として活躍されることも多いですが、さきがけ?
ちなみに、ディズニーシーの海底2万マイルのネモ船長も江守さん。
「パプリカ」 2006年
キャッチコピーは「私の夢が、犯されている_/夢が犯されていく_」
原作は筒井康隆さん。
林原めぐみさん、江守徹さん、古谷徹さんなどといった声優陣も豪華です。
あらすじは、研究所の時田が開発した夢を共有する装置DCミニ。そのDCミニが何者かによって盗まれ、研究員たちの夢が支配さて行きます。
その犯人を突き止めるために主人公のセラピスト千葉敦子ことパプリカは夢の中へ入り込みます。
一番初めに見たのが「パプリカ」という作品でした。
色使いの素晴らしさ。芸術を感じるような、絵画のような絵の構造。物語としての時空感。音楽もまた素敵です。
4作品ではありますが、実に内容の濃い4作品です。
独特な世界観、引き込まれる感じ。何度見ても心がざわつきます。
見てよかった。知れてよかった。そんな映画です。