NHKの「なつぞら」を見ていたら北海道弁が出てきて、北海道弁と言ったら私の中で「北の国から」か、大泉洋か、松山千春か、いくえみ綾で、いくえみ綾の漫画を読み返しています。
「彼の手も声も」は、1989年12月から1990年12月までマーガレットに連載されていた漫画です。
やはり初期の頃の作品の方が北海道弁が多く出てくる。
「なーんも」
「ずるいべや」
「したらなー」
「○○っしょや」
「なした」
「○○だべや」
「ばくりっこ」
コレコレって思って読み返してます( *´艸`)
※注意:ネタバレありです。
【彼の手も声も】ざっくりしたあらすじ
高1の水内奈緒は美術部で、おっとりしていて小柄な女の子。鳥や仲が良い同じクラスの陸上部の明代の絵を描いている。明代の紹介で同じ陸上部の1つ年上の苫谷健司と知り合い徐々に好きになっていく。しかし、親友の明代も健司を好きだった。
初めての恋、親友との関係など、もちろん恋愛についての漫画ですが、部活への思いや未来への不安など、高校生が持つであろう悩みも細かく描かれていて、読み返しても胸が熱くなります。
奈緒が高1から高2の2年間の物語です。
【彼の手も声も】主な登場人物
水内 奈緒(みずうちなお) | 主人公の女の子。高校1年。美術部。151cm |
---|---|
苫谷 健司(とまやけんじ) | 高校2年。陸上部で高跳び。168cm。後輩からも健ちゃんと呼ばれている。 |
寺坂 明代(てらさかあきよ) | 奈緒のクラスメイトで親友。陸上部。164cm |
伊勢(いせ) | 高校2年。陸上部。学校の近くで下宿している。奈緒に恋心 |
葛西 繁之(かさいしげゆき) | 高校3年。陸上部。健ちゃんの憧れの先輩だけど仲は良くない |
高橋 純子(たかはしじゅんこ) | 高校3年。陸上部。葛西の彼女 |
直樹(なおき) | 健司の中学の同級生。実家がお好み焼き屋。高校を中退している |
ムチ子 | 体育の先生 |
学生の頃に読んでいた時は主人公の奈緒ちゃんがあんまり好きじゃなかったんですが、大人になって読み返したらかわいい。
こんなかわいらしい高校生だったらなぁって、今となっては思います。
健司の髪型も時代を感じるけどなんか良い。
体育のムチ子とか、かなりグッときちゃう。ちょっとしか出てこないけどね。
【彼の手も声も】1巻
最初からやられます。
健ちゃん
苦しいです
毎日が
小さな
「好き」の
積み重ねなんです
好きなのに苦しいんだよ!たまんないね!!
学生の頃はそれが恋愛だったかもしれないけど、私は仕事人間だからそう思っちゃうけど、仕事もそうだなぁ~って。読み返したらなりました。
この仕事好きなのになぁ。苦しいなぁ。ってな。
まぁ、そんなことはどうでも良くて、やっぱり学生の頃の気持ちも思い出してしまうわけです。
奈緒は明代の紹介で陸上部の1つ年上の健ちゃんを紹介されますが、学校で話したり陸上部の人たちとラーメンを食べに行ったり、少しずつ距離が近づきます。
奈緒は健ちゃんを好きになっていくんですが、同じ陸上部の伊勢が奈緒のことを一目ぼれしてしまうんです。
その話を健ちゃんから聞くわけなんですが、そんな話をしている2人を見て走って捻挫してしまう明代。そこで明代も健ちゃんを好きだと思う奈緒。
健ちゃんはと言うと、陸上部の1年が辞めるってなって、電話してるんですよ。
……せんぱい
中学の記録はすてました
それでも数字ばかりを大切にする人たちの中にいると
走るのが好きだってゆう唯一のこの気持ちも……
この気持ちさえ忘れてしまいそうになる時があって
記録がどうにも伸びない分
怖くて しょうがなかったんです
もう いんです……
大人になって読むと、こういうのがグッときちゃう。
これが物語の伏線だったりするんですが、「だから良いんだよな。いくえみ綾先生は」ってなるところだったりします。
明代は奈緒が健ちゃんを好きなことが分かって、「自然でいよう」と奈緒に言いますが、健ちゃんと奈緒が付き合っているとい噂が流れます。
【彼の手も声も】2巻
2巻は、夏休みと文化祭。
夏休みに入って健ちゃんからハガキが届くんですが、まぁ、時代だよね。今の時代は住所だって分からないし、ハガキじゃなくてメールやlineでしょ。
好きな人が書くあたしの名前
新鮮な 4文字
細かい。そんな気持ちになったことがあった(かも)。中学生と言うか高校生っていうか、小学生の頃を思い出したわ( *´艸`)
いや、それも時代か・・・。
奈緒は健ちゃんのことを思って嬉しくなったり、会いたくなったり、ドキドキしたり。
健ちゃんは陸上のことで悩んだり。足に痛みが合ったり。
でも、奈緒のことも気になってたり。
伊勢君に
おまえの「奈緒ちゃん」
もしかしてとっちゃっても い?
と言う。
そんでもって、文化祭の前に
あのさー
あした一緒に歩かないかー?
と奈緒に電話するんです。
(*´Д`)
文化祭でくっつく人いたよねぇ(/ω\)付き合うってなった時に健ちゃんが奈緒に対してちょっと口が悪くなるのもたまんない。
そして、この、足に痛みがあるのも物語の伏線だったりする。
何重よ!
やっぱり読んでてやめられなくなるところです。
健司と奈緒が付き合うことに納得したような明代でしたが、奈緒のことを見ていてイライラしてしまいます。
あたし 自分がやなのっ・・・
あの子は 健ちゃん以外は男じゃないと思ってる
ハチ公みたいにただ一途で
誰も目に入らないで
他の誰も見よーとしないで
しあわせな顔してる
ー・・・て思ったらね……
ここにぐるぐる渦巻く気持ちに気付いちゃってー・・・
〝嫉妬‶・・・
奈緒は幸せだと思ているけど、それをひけらかしているわけじゃない。
こういう細かい気持ちの描き方もグッときてしまう要素である。
中学生や高校生の頃の、一緒にお弁当や一緒にトイレを思い出したけど、いや、トイレは一人で言ってたけど、今思うと狭い世界だったなって思うけど、
そういう狭い世界だとしても、共感できる細かい描写はたまらない。
2巻の最後は奈緒と明代は仲直りするんですが、健ちゃんとも明代ともうまくいって、ここで終わってもおかしくないんじゃないかってなるところ。
「だから良いんだよな。いくえみ綾先生は」ってなるところだったりします。
【彼の手も声も】3巻
葛西先輩が手紙をなくして、それを陸上部の後輩が見つけてしまうんです。
その手紙は、純子先輩からの別れの手紙なんですが、実は、この物語で切なくて悲しくて苦しいのは、純子先輩なんじゃないかって思う。
純子先輩はよく出てくるわけじゃないから余計にその裏にあるものを色々考えちゃうって言うのもあるんですが、けっこう切ねぇ。
奈緒の靴がなくなったり、ママに健ちゃんのこと言われたり、健ちゃんの同級生の女の子が健ちゃんのジャンパーを着てっちゃったり。
奈緒の心の中でも色々と揺れ動く部分はあるものの、健ちゃんは健ちゃんで別のことで悩んでたりするんです。
で、奈緒に
だってあたし
独りになったら絵なんか・・・描かない・・・
と言われ、
なんで・・・
そんなに俺がぜんぶ?
と聞く。
健司は奈緒の思いに戸惑い、伊勢君に自分の本音を切れ端のノートに手紙で書くんですが、それを奈緒に読まれてしまうんです。
30年前の漫画だから、男女間の違いとか今と違うだろうなって思うけど、読んでた当時はそういう女の子が好きじゃなくて、でも、今読むとかわいいな。
高校生の頃だったら初めて付き合った人がすべてになることだっておかしくないわけで、かわいいなって思うのと、そんな高校生活を送りたかったわ!って思う自分がいます。
【彼の手も声も】4巻
距離を置きたいという健司。
崩れ落ちる奈緒。
健ちゃんの本音は
このまんま自分にあきれてきれればいーとおもったっ
しばらくはなれようって
いつまでったら
今はわかんないって
あやふやでいーかげんででも高跳びに集中したかったのもほんとうだし迷って迷って
このままあきれちゃって
遠ざかってあの子にほかに好きなやつができたらちゃんとしたやつでそしたら・・・
傷ついたりしないですむとおもったんだけど
こうやって大人になってくよね。
ってしみじみしたわ!
結局健ちゃんは奈緒のところに行くんだけど、部活に対する思いとか親に対する思いとかはけっこうグッときちゃう(´▽`*)
学生の頃に読んでいた漫画を大人になって読み返すのは良いな。
今読むと全然違う。
大人になったなぁ~っていう思いと、あの頃こんなんだったなぁ~っていう思いと、甘酸っぺぇ。
【彼の手も声も】新書判(昔のやつね。少年・少女コミックに多いサイズ)は全4巻、文庫判(ハガキサイズ)は全2巻です。
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