いくえみ先生の漫画はけっこう心の深いところを刺すような作品も多いのですが、「オススメボーイフレンド」はほっこりできる高校生の恋愛もの。
かわいらしくてイイです。
同時に収録されている「頼ちゃんは叶わぬ恋をしている」は、【バラ色の明日】の「巷に降る雪の如く」の続編です。
「頼ちゃんは叶わぬ恋をしている」はかなり切ない。
そんな2つの短編と、書きおろしのショートストーリーが収録されている1冊です。
※注意:ネタバレあります。
【オススメボーイフレンド】のあらすじ
主人公の小城貴恵は、高校に入ってはじめて口をきいたの男子が荒木優。
「アッチョンブリケってなんだっけ?」と唐突に聞かれるのですが、私の中で一時期はやりました。「アッチョンブリケ」。謎だが便利な言葉。
心臓がドクドクバクバクしてキューッとなる貴恵。
落ちるだけなら 簡単なんだ
恋は
そんな出会いから11カ月。貴恵と荒木に進展はなく、貴恵は告白されてつきあった男の子・堂本に「ずっと前から好きな人がいる」と別れ話をします。
クラス替えのない学校で「下手に同じクラスの男に告ってふられた日にゃーねー」という友達の言葉に思う貴恵。
だったら 友達でいーじゃん
なんの不満もございません
荒木は恋愛に対し興味がないのか無頓着なのか、「めんどくさいのオレ~そおゆうの~」と。それでも近づきたいと思う貴恵。
ブラックジャックの漫画を返してもらいに荒木の家まで行くが、堂本の話になり荒木にがっかりされる貴恵。
だって
好きな人はぜんぜん友達でそんなんじゃなくて
ぜんぜん気づいてもらえなくって
あたしだって いろいろ いろいろ考えてんのに そんな
「がっかり」なんて言われたくない!
怒る貴恵。
「気づいてもらえない」
な~んてバカだよ バカ!
あたし なんもしてないじゃん
「友達で いい」とか
いってんじゃん
「友達だ」って
言いきかす友達なんてあるか
かわいいね~。高校生の頃、いや、中学生の頃、いや、小学生の頃とか思い出しちゃいますよね~。
しかし、2つ上の学年の卒業式の日、貴恵はとんびにあぶらげをさらわれるのです。荒木が先輩に告られてつきあうことになってしまう。荒木は何か引っかかるものがあるものの、先輩の石丸さんとデートなど重ねています。
付き合ってみたらイメージと違った石丸さん。「ペット扱いは嫌です」と言ってみんなの前で恥をかかせふられる荒木。
ほんとうは
あん時に気づいてもよさそーなもんじゃないか オレ好きな奴のこと
卒業式の日に言いかけたこと
みよちゃんはいるのか いないのか
キミの謎をとくぞ~
小城貴恵!
2人はくっつくのかは描かれてはいませんが、なんだか愛おしくなるお話です。
なんかさぁ、あったよね~。そういう気持ちになったこと。ってなります。
友達のままの方がいいって思ったり、付き合ってみたら「なんか違う」って思ったり、むなしくなるけど自分は何にもしてなかったり、気付いたら誰かとくっついてたり。
昔を思い出して胸がキュンとする話です。ほっこりします。
【オススメボーイフレンド】主な登場人物
小城貴恵(こしろたかえ) | 荒木に恋する女の子 |
---|---|
荒木優(あらきゆう) | 恋愛にうとい男の子 |
堂本(どうもと) | 貴恵が付き合ってた男の子 |
石丸菜々子(いしまるななこ) | 荒木とつきあう先輩 |
「オススメボーイフレンド」の後の、「頼ちゃんは叶わぬ恋をしている」の方がけっこう泣いてしまう物語です。こっちの方をメインに読む人もいるんじゃないかと思います。
「巷に降る雪の如く」では大学生だった頼ちゃんですが、大人になってデザイン会社に勤めています。
ふられるのを待っている頼ちゃん。その人は病院で眠ったまま。
切なくて苦しくなる。
しゃぶしゃぶを「モーシャブ(牛)」だの「ブーシャブ(豚)」だのって言うくだりがあるんですが、私はそれが好きで、かわいくて気に入ってマネして言うと「?」ってされることが多いです。
(;´∀`)
はじめてそれを分かってくれた後輩に感動したことがあります。
「頼ちゃんは叶わぬ恋をしている」は【バラ色の明日】の文庫判にも収録されています。新書判には収録されていません。
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